東公平

今期名人戦第一局の事件は、対局中の羽生名人にサインを頼んでいる場面が、東公平にとっては運の悪いことに、衛星放送で生中継されて騒ぎになったという話だと思っていた。
しかし考えてみると変だ。東公平を見ると、彼は去年の三月まで朝日新聞観戦記者をしている。NHKの衛星放送が名人戦中継を始めてからもう何年も経っているし、生中継の時間もパターンとして大体決まっているだろう。名人戦は去年共催になるまで三十数年間、朝日新聞とは関係なかったといっても、長い間将棋界関係者であったのに生中継の時間を知らないほど無関心になれるものだろうか? 衛星放送には名人戦以外にも将棋の番組があるが、全く見ていない?
時間については知らなかったとしても、そこにカメラが設置してあることに気付かないことはあり得ないから、盤の前に座っているときにサインを貰うのは避けて別の機会にする筈だろう。サインといっても、一つの扇子に関係者全員のサインを寄せ書きにしたもので、あの後で郷田九段のサインも別の場所で貰っている。(それが、羽生のサインのことで朝日新聞の担当者に注意されるより前か後かまでは、わからない)
東公平は羽生名人が子供の頃からの知り合いで、過去に何度もサインを貰っていることから考えて、あの場面でサインを貰わなければならない理由はない。


以上のことから、
サインを貰うこと自体も目的だが、サインを貰っている場面が放送されることがもう一つの目的
と考えていたのではないか。


その後、東公平週刊朝日に隔週連載を書いているということがわかったので、5/29号を買ってみた。

第2局は熊本市の熊本城で行われ、NHKの中継画面を見ていた私は、現代の名人戦というイベントでは記者が対局者の近くでじっと見ていること自体、すでに不謹慎なのかいなと感じました。つまり仕事が「観戦」ではなく、局後の感想を忠実に書く「感想記」に変質しているのですね。

反省どころか無茶苦茶なことを書いているが、それよりも重要なことがある。
NHKの中継を見ているということ。