梅田望夫の奇妙な感想
17日は、新橋で名人戦の解説会を見てから帰った。名人戦が終わったので、これからは棋聖戦に注目。
その棋聖戦第一局の棋譜を見ようと思ってサイトに行くと、梅田望夫氏の観戦記があったので読んでみた。梅田望夫氏のBlogに観戦記の補足があると知ったので、それも読んだ。
その中に一箇所、妙なことが書いてある。
「2,000局くらいしか・・・・」ですか。羽生さんの頭の中はどうなっているんでしょうね、本当に。
プロの全体の対局数が年間2000局ぐらいであることを、「2000局くらいしか」と羽生が表現したことに驚いたという意味のようだが、何故驚くのか全く理解できない。
この文の前の部分を読めば分かるが、羽生の発言は、三年前の山崎−佐藤戦の三十数手目の局面が、その後一度も現れなかった理由の答えの一部なのである。初手から三十数手進んだ局面の可能性が膨大であり、2000など全く問題にもならない数であることは、将棋をある程度知っていれば誰でも分かっていることだ。しかもこれは単なる事実について発言しているのであるから、「羽生さんの頭の中がどうなっているのか」とは何の関係もない。
梅田望夫という人は、その程度のことも分からないのか?
そんなことはない。彼は観戦記の中で以下のように書いている。
私はいつも、一局の「無限の広がり」を書き尽くした本の存在を夢想する。一局の対局を通して、2人の対局者が脳の中で考えたすべてを書きおろしたら、どんなものになるのだろう。
「百冊くらいの、百科事典みたいに分厚いものになるでしょうか」私は佐藤棋聖に問うたことがあるのだが、
「そうでしょうね。そのくらいにはなるのでしょうね」
いとも簡単に佐藤棋聖は答えた。
つまり彼は、勘違いや無知によって書いたわけではないようだ。それなら何故そんなことを書いたのか?
梅田望夫さんの頭の中はどうなっているんでしょうね、本当に。