第二十一回 鬼の冠

鬼の冠 (新潮文庫)

武術家、武田惣角の生涯。
武田惣角という名前は、私はまったく知らなかったのだが、この小説に書いてある来歴なら、少なくとも北海道や福島では知らない人は居ないというような人物ではないだろうか。「全ての武術の基本は剣術」ということばが出てくるが、この前読んだ「陸軍戸山流で検証する日本刀真剣斬り」にも同じようなことが書いてあった。
津本陽は、かなり抑制の効いた文章を書くということに今頃気付いた。読んでいる途中で、吉村昭を読んでいるような錯覚を起こしてしまった。